REPORTvol.15

シリーズ【賢者の推し店】呉市の元祖焼き鳥屋が魅せる、牡蠣の底力、の巻

シリーズ【賢者の推し店】呉市の元祖焼き鳥屋が魅せる、牡蠣の底力、の巻
「めっちゃ旨い」の声が止まらない

香ばしさを決める焼き加減は、まさに老舗の技。熱燗に落としてかき酒にするのもおすすめです (牡蠣食う賢者・鷹林 勲)

2025年秋冬、Season6に突入した「牡蠣食う研」。今シーズンもみんなで牡蠣を食べて広島の牡蠣関係者の皆様を支えたい。この企画では、牡蠣を愛する広島の著名人の方々や食にまつわる仕事をされている15名の皆様を「牡蠣食う賢者」に認定。賢者が推す「牡蠣がおいしい飲食店とその料理」をドシ!ドシ!!ご紹介して参ります。

一度で二度おいしい!
かき串焼

さて、今回ご登場いただく牡蠣食う賢者は、「コワモテ料理長」として呉市の食の魅力を発信する、クレイトンベイホテル「呉濤」料理長、鷹林勲様でございます。

昭和26年創業。呉を代表する老舗中の老舗で、鳥料理の名店として知られる一軒です。鶏皮を味噌でじっくり煮込んだ呉名物「みそだき」発祥の店としても有名ですが、実は冬場の牡蠣料理もとにかく素晴らしい。なかでも「かき串焼」がおすすめです。長年焼き場に立ち、数をこなしてきたからこそ出せる絶妙な火入れで、水分をぎりぎりまで閉じ込めながら、表面は香ばしく仕上げる。そのさじ加減が見事です。さらに、その焼き牡蠣を熱燗に落とせば、旨みがじんわりと広がるかき酒に。冬の呉で味わいたい、贅沢な一杯です。

牡蠣食う賢者その15 鷹林勲​/たかばやし・いさお。1972年、広島市安芸区生まれ。学生時代、寿司店でのアルバイトをきっかけに料理の道へ。大阪の調理師専門学校卒業後、「メルパルク広島」で13年間研鑽を積む。2007年、「クレイトンベイホテル」内の日本料理店『呉濤』料理長に就任。2024年1月よりSNSで呉市の飲食店情報の発信を開始。投稿は次々と話題を呼び、いまではSNS総フォロワー数33万人超。愛称は「コワモテ料理長」。

スキンヘッドに鋭い目つき。全身ブラックコーデで呉の街を練り歩くその姿は、まるで映画のワンシーン。一見強面。しかし実は、超がつくほど優しい。そんな鷹林賢者が熱く推すのがこちら!

『本家鳥好』の、かき串焼

まさに、シンプル・イズ・ベスト。手作業で串打ちした牡蠣を、焼き台の上でじっくりと火入れ。余分な手を加えず、素材の旨みを引き出します。

鷹林賢者

「牡蠣の味の深みを一滴も逃さない焼きの技は、『本家鳥好』ならでは。積み重ねてきた年月があるからこそ到達できる、老舗の職人技です。噛むほどに濃さを増す味わいが、その確かな手仕事を実感させてくれます」

そしてこのかき串焼には、もうひとつのお楽しみが待っています。

「かき酒がしたい」と声をかければ、かき串焼と熱燗がさっと差し出されます。串から外した牡蠣を、ぽとりと日本酒の中へ落とす。その瞬間から、もう至福です!!!

鷹林賢者

「贅沢ですよ。時間がたつと、日本酒の色がジワリと変わっていくんです。あとはもう、好きなタイミングでどうぞ。牡蠣のエキスが溶け出して、酒の味も変わるし、逆に牡蠣も酒を吸って味が変わる。酒も旨いが、牡蠣も旨い。時間が経つほどにコクが増していく。まさに、育てる酒です」

本家鳥好の牡蠣料理は、実にシンプルです。ただ真っ直ぐに調理で勝負できるのは、牡蠣そのものの質に確かな自信があるからこそ。その決め手となるのは…!

呉市音戸町の牡蠣

『本家鳥好』では、約70年間付き合いのある呉市音戸町のとある養殖業者の牡蠣を使っています。大将自ら現地を訪れ、牡蠣を仕入れているそうです。この牡蠣を求め、県外からもお客さんが多く訪れるとか…!

「今年は例年に比べて少し小ぶりじゃけど、味はしっかりしとって、質もものすごいええんよ。ここの牡蠣が一番旨いと思っとる。自分がほんまに旨いと思うものをお客さんに食べてほしいけんね」

そう話すのは、代々暖簾を守る同店三代目の大将、上瀬正智さんです。牡蠣へのこだわりは、仕入れはもちろん、扱い方や処理のひと手間にまで及びます。細部にこそ、旨さの理由があるのです。

「とにかく鮮度が命よ。牡蠣は海水に浸かった状態で仕入れる。その後、注文が入ってから牡蠣から海水をはかせて塩分濃度を調整するんじゃけど、塩分をはかせすぎてもいけんのよ。ちょうどいい状態を見極めとる」

かき串焼以外の牡蠣料理は?

生牡蠣とはひと味違う「かきのつくり」。いわば、牡蠣の刺身という珍しい一品です。
ほどよく水分を抜くことで、甘みがいっそう際立ち、口の中にじんわりと広がります。
添えられたワサビをのせ、醤油をほんの少し。そっと口に運べば、牡蠣の旨みがダイレクトに伝わってきます。

「かきフライ」は、まっすぐで力強い味わい。揚げてなお、牡蠣の濃厚さがしっかりと主張します。「かき天ぷら」は、軽やかな衣にまで牡蠣の風味が移り、ひと口ごとに豊かな余韻が。ソースを付けてもよいですが、まずは何もつけずに味わってほしいところです。
そして「酢かき」は、自家製の酢が味わいの核。常連客から「飲める酢」と称されるほどまろやかで、牡蠣とともにするりと喉を通ります。製法は、もちろん門外不出です…!

「いやぁ、ほんまに上手に焼かれますね」と鷹林賢者。「たまたま、ええ具合になるだけですよ」と照れ笑いの大将。店内にやわらかな空気が流れるのも、牡蠣がもたらす不思議な力かもしれません。

鷹林賢者

「何を食べても『本家鳥好』の料理はおいしい。その一言に尽きます。大将は、とにかく牡蠣そのものを食べてほしい、っていう思いで料理をされとるんです。ただ、この牡蠣も、特に呉市では壊滅状態で……。自然環境のことなので、どうしようもできん部分もあって、ほんまに歯がゆいですよ。でも、だからといって何もせんわけにはいきません。自分たちにできることをしようと、YouTubeで牡蠣の生産現場まで行って、その様子を発信しとるんです。今の牡蠣の現状を、ぜひ皆さんに知ってもらいたいですね」

呉市の牡蠣が直面している現状については、鷹林賢者が発するこちらからご覧ください。

例年は冬から春先にかけて提供される『本家鳥好』の牡蠣料理ですが、今年は2月末までの短い期間を予定しています。それ以降に牡蠣を味わいたい場合は、事前に店舗へお問い合わせを…!

【牡蠣食う賢者・鷹林勲が推す店】
本家鳥好(ほんけとりよし)
広島県呉市中通3-2-3 MAP電話 0823-24-7667/営業時間17:30〜22:00・OS21:30/日曜、その他不定/JR呉線「呉駅」から徒歩約12分/カウンター6席テーブル20席
★牡蠣の提供は2026年のみ2月までを予定(通常は12月~3月まで)/呉市音戸町にある養殖業者の牡蠣を使用

執筆:大須賀あい 撮影:中野一行

今回の牡蠣食う研究

15人の「牡蠣食う賢者」が愛する、広島の牡蠣料理店を紹介したい!

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