REPORTvol.9

シリーズ【賢者の推し店】究極のマリアージュ、「日本酒loves牡蠣」の合体メニュー、の巻

シリーズ【賢者の推し店】究極のマリアージュ、「日本酒loves牡蠣」の合体メニュー、の巻
広島のくいだおれ人形…いや、食いしん坊蔵元が創作した愛のメモリー

『冬になると広島に牡蠣酒を呑みにいきたい!』っていう動きをつくりたいんです (牡蠣食う賢者・前垣壽宏)

2025年秋冬、Season6に突入した「牡蠣食う研」。今シーズンも、みんなで牡蠣を食べて広島の牡蠣関係者の皆様を支えたい。この企画では、牡蠣を愛する広島の著名人の方々や食にまつわる仕事をされている15名の皆様を「牡蠣食う賢者」に認定。賢者が推す「牡蠣がおいしい飲食店とその料理」をドシドシご紹介して参ります。

一品で2度以上おいしい!
ありそうでなかった牡蠣酒

今回ご登場いただく牡蠣食う賢者は、西条の老舗酒蔵「賀茂泉」の蔵元である前垣壽宏様。そもそも前垣賢者、牡蠣はお好きですか?

僕を誰だと思ってるんですか! マエガキ、ヤキガキ、シブガキ、の前垣ですよ!(笑) 牡蠣って特に海外ではシャブリなどの白ワインやシャンパンと合わせるのが鉄板ですけど、一番合うのは絶対日本酒ですよ。僕は子供の頃は牡蠣を食べる機会が牡蠣フライくらいしかなくて。大人になってお酒を呑むようになって、初めて牡蠣の本当のおいしさがわかった気がします。

牡蠣食う賢者その9 前垣壽宏/まえがき・かずひろ。2019年、西条の酒蔵「賀茂泉」4代蔵主に就任。日本酒の海外普及にも積極的に携わる。ハンバーグと町中華店のオムライスが大好きな食道楽。たまたま広島空港で笑福亭鶴瓶さんに会い、そのままNHK『鶴瓶の家族に乾杯』に出演したという強運の持ち主でもある。

生ガキ、焼きガキ、蒸しガキ、なんでもござれの前ガキ賢者の推しガキはこちら!

かき船『かなわ』の、牡蠣酒

どちらも広島の名産品であり、共に“広島の水”の恩恵を受けてつくられる牡蠣と日本酒。普通に考えて合わないはずがない両者ですが、これをガッチャンコして一緒に味わっちゃうという発想はありませんでした。ヒレ酒ならぬ、牡蠣酒。なんとこのメニューを考案したのは賢者自身というではありませんか。

前垣賢者

「15年前の宴席で、牡蠣を炭火で炙ってもらい、うちの純米酒の熱燗と一緒に食べてたらすごくおいしかったんです。それで『酒に入れたら面白いんじゃないか?』という話になって即興で試してみたら、これが絶品! 僕の中で牡蠣酒が誕生した瞬間です」

牡蠣酒のうまさが忘れられなかった前垣賢者はその後、『かなわ』で働いていた高校時代の同級生に遭遇。牡蠣酒の話をアツく語ったところ、同級生が『かなわ』の社長に提案して見事メニュー採用と相成ります。もちろんお店の牡蠣酒に使用するお酒は賀茂泉にしてもらうという営業マインドも忘れませんでした。つまり前垣賢者は『かなわ』の牡蠣酒の生みの親なんです。

では、久しぶりに“いとし子”とご対面~。

前垣賢者

「あー、いい香りです。牡蠣の香ばしさと海の香りが日本酒の向こうに感じられます。牡蠣の出汁も出てるし、お酒もスッと入ってくる。いや、本当においしいです……」

牡蠣酒のつくり方はいたってシンプル。表面を炙った生牡蠣をアツアツにお燗した純米酒を注いだ湯呑にドボン。牡蠣のエキスがお酒に染み出し、時間がたつほど旨味は最高潮に。お酒を飲み干したら注ぎ酒もOKというエンドレス状態に突入です。そして牡蠣酒には嬉しいご褒美が……。

前垣賢者

「最後、指でつまんでもいいんですけど、湯呑の底に残った牡蠣を食べるのが最高なんです! しっかりお酒を含んでプリプリになってて。それを一口でいただくと口の中が幸せになりますよ。牡蠣酒は牡蠣と日本酒を1つにまとめただけじゃなくて、相乗効果でそれぞれのおいしさが引き立つんです。寒くなるとヒレ酒を吞みたくなるように、『冬になると広島に牡蠣酒を呑みにいきたい!』っていう動きをつくりたいですね」

呑んで幸福、食べて昇天――一品で2度以上楽しめるワガママメニュー・牡蠣酒。そこには『かなわ』ならではのこだわりも表現されています。

大黒神島深浦『かなわ海産』の牡蠣

現状広島に残る唯一の牡蠣船として有名な『かなわ』ですが、そもそも牡蠣船とは牡蠣養殖業者が商品を船で運び、現地で牡蠣を食べてもらうという風習からはじまったもの。ベースはあくまで牡蠣生産なんです。しかも『かなわ海産』は創業が慶応3(1867)年と超老舗。150年以上の歴史があるんです。

「私たちが牡蠣の養殖をしている大黒神島は江田島の向こうにあって、特に水のきれいなところ。広島県が指定する生食用牡蠣の海域にあって、衛生管理を徹底しています」

かき船『かなわ』の“船長”を務める戸田 豊さんも自ら大黒神島に足を運び、牡蠣の出来を確かめるほどの牡蠣フリーク(牡蠣筏の上で、むいた生牡蠣を海水で洗って食べるのが最高だとか!)。前垣さんとも顔なじみで、牡蠣酒に太鼓判を押します。

「よく『日本酒にはどんな料理が合いますか?』って聞かれるんですけど、日本酒は米からできているので、基本的にごはんのおかずになるものは何でも合うんです。なので刺身にも合うし、しょうゆにも合う。当然牡蠣もバッチリですよ」

牡蠣酒以外の牡蠣料理は?

ということで戸田さんが出してくれた料理も、牡蠣の酒盗玉子あえ、しょうゆベースのタレ焼きに味噌焼き。どれも白米に合うし、日本酒にマッチするのはアタリマエのお皿ばかり。ということで杯をあおる手が止まらない前垣賢者ですが、「おっと、これを忘れちゃイカン」とばかりにカバンから一本の酒瓶を取り出しました。これは一体何ですか?

前垣賢者

「これはうちの『搾りたて生原酒』(季節限定商品/かなわでの提供は予約の場合のみ)。このお酒が出るタイミングが12月初旬で、ちょうど牡蠣のおいしい時期じゃないですか。爽やかな酸味を感じる味わいで、このお酒をつくるとき、なんとなく牡蠣と一緒に呑んだらいいだろうなと思ったんです。だからラベルに牡蠣のイラストをあしらってるし、牡蠣に一途に片想いしているというか、恋でたとえれば、ラブほど強くないけどライクよりは心がこもった感じというか……」

まさに今、アツい恋の最中にいる方も、一途な恋に身を焦がしている方も、広島に来てアツアツの牡蠣酒に身を震わせてみるのはどうでしょう(プルプルの牡蠣の身も味わえるし)。

【牡蠣食う賢者・前垣壽宏が推す店】
かき船 かなわ
広島市中区大手町1丁目地先 MAP 電話 082-241-7416/営業時間 11:00~14:00、17:00~20:00/定休 年末年始/市電「原爆ドーム前」停留所から徒歩約5分/レストランフロア「瀬戸」と個室料亭「和久」、2種類の店舗がある

執筆:清水浩司 撮影:内田和宏

今回の牡蠣食う研究

15人の「牡蠣食う賢者」が愛する、広島の牡蠣料理店を紹介したい!

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