REPORTvol.3
【シリーズ・春牡蠣食レポ①】春牡蠣、開幕!広島のスポーツヒーローが、うま味MAXな朝採れ牡蠣に悶絶、の巻
“ 牡蠣はいつも生で食べます。春牡蠣で感じるのは味の濃厚さですね。まろやかでもあるし、うま味を蓄えているっていうのには納得します。これなら20個はイケる! ” (サンフレッチェ広島アンバサダー・森﨑浩司)
「え?サンフレッチェ広島アンバサダーの森﨑浩司さんと、元カープの天谷宗一郎さんが無類の牡蠣好きだって!?」思わぬ情報が牡蠣食う研に飛び込んでまいりました。広島が誇る二大プロスポーツの元トップ選手が牡蠣好きとは…。思い切って「極上の春牡蠣を食べてみませんか…?」と怪しげなお誘いをさせていただくと、「いくいくいく!」と、まさかの食い気味で応じてくださったお二人。今回の研究では、広島県の牡蠣好きを代表して、お二人に春牡蠣のおいしさを体験していただきます!まさに、春牡蠣、開幕!でございます。
(取材・文/牡蠣食う研 森﨑浩司、天谷宗一郎、栗原単、加美和幸)
打って走って蹴って跳んで…
広島を魅了した二人
その原動力は牡蠣だった?
3月某日。ここは広島市中区河原町の和食店「こでまり」。昼は穴子重、夜は一品料理が楽しめる、知る人ぞ知る名店なのでございます。今回はこちらのお店をお借りして、この日限りの春牡蠣スタジアムが開幕いたします。おいしい春牡蠣を食べて二人のスカイラブハリケーンは炸裂するのでしょうか?
「今日は本当にここにサンフレッチェ広島アンバサダーの森﨑浩司さんと、元カープの天谷宗一郎さんが来てくれるんですかねぇ? 我々広島県民にとってお二人は英雄なんですよ。あ、この牡蠣殻にサインを書いてもらおうかな…って、栗原研究員!聞いてますか?」
「まだかな、まだかな~♪」
本日の取材を担当するのは、呉市音戸で牡蠣生産を行う、音戸海産の栗原単研究員。真っ赤なハッピは創業当時から守り続けているのだとか。ここぞという時に袖を通す戦闘服に身を包んだ栗原研究員は、いつもよりも凛々しく思えます。
「あ!向こうから仲良くやってくる二人の姿が見えてきました。あの紫と赤のオーラはおそらく…。やはり!森﨑浩司さんと天谷宗一郎さんです」
「なんだかすごく楽しそうですね!」
貝柱の友情で結ばれた(?)牡蠣好きの二人
「どうも!今日はおいしい牡蠣を食べられると聞いてきましたよ!」
「“春牡蠣”なんですよね!楽しみです!」
「そうなんです!お二人は牡蠣が大好きと聞いて、ぜひ春牡蠣を食べていただきたくて」
「牡蠣、大好きです!僕は貝類全般が好きですが、やっぱり広島県民として牡蠣は別格ですよね。宮島に行った時は、焼き牡蠣を食べ歩くのが好きです」
「でもまぁ、そんな浩司よりも俺の方が牡蠣好きですけどね」
「おい!(笑)」
「天谷さんはインスタグラムに、食べた牡蠣の写真を載せたりしてらっしゃいますよね?あれはご自身で調理しておられるのでしょうか…?」
「はい!家で自分で蒸して、殻を剥いて食べるのが好きなんですよ。うまく盛り付けられた時は、我ながらよくできたなぁって、写真をインスタにアップしたりしていますね」
「では、とりあえずお店に入りましょうか。僕が今朝、水揚げしたばかりのおいしい春牡蠣をご用意していますので…」
「今朝、水揚げ?」
「今回は、3月4月の広島県産牡蠣のおいしさを知っていただくのが目的ですからね!できる限り新鮮な状態でご用意するべく、栗原研究員が直接お持ちしました。春牡蠣の魅力は奥深いですよ。食べたいでしょう?」
「すぐ入りましょう!」
「いらっしゃい!待ってましたよ!」
改めて、今回の舞台となる和食店『こでまり』さんをご紹介いたします。魚の目利きの確かさと料理の腕の高さで食通が集まるこちらのお店。穴子重を求めるお客様で賑わうランチタイム終了後の、ひとときの休み時間を牡蠣食う研の取材に充ててくださったのでございます。
改めて知っておきたい
春牡蠣って何がすごいの?
「わぁ~、ここめっちゃいい店!絶対うまそうですやん!」
「じゃ早速、何から食べましょう…」
「その前に、お二人は春牡蠣の何がすごいかって…わかってます?」
「ふぇ?」
春牡蠣を腹に入れる前に、知識を頭に入れる
「まず、牡蠣のシーズンって1月が過ぎて2月になったら、ハイ消えた!って思ってません?」
「まあ、普通に牡蠣は1月、2月が旬かなって思っていました。3月、4月に牡蠣とかいう意識は特に持っていなかったです」
「確かに牡蠣=寒い時期までっていうイメージはあるよね!でもそれはきっと、イメージでしかなくて。僕の知り合いに牡蠣筏を持ってる人がいるんですけど、その人は2月、3月の牡蠣が旨いって言っていましたね」
「そう。牡蠣はむしろ3月~4月にかけてが一番おいしいと思ってるんです、僕は。それに僕の周りの生産者はほとんどそう感じていると思いますね。実際に、アミノ酸とかグリコーゲンの量を調べてみても、この時期の牡蠣が一番うまみ成分が多いっていう科学的な調査結果もあるんですよ」
うま味を決めるグリコーゲン量とアミノ酸の総量は2~4月が最も多い。
「ただ、年を越すとスーパーや飲食店で牡蠣を目にする機会も減るだろうし、それで“もう旬じゃない”みたいな変なイメージが持たれちゃってるんですよね」
「特においしい時期の牡蠣なのに、逆に食べる機会が減るってこと?それちょっと驚き!」
「でも、そのことも知ってる人は知ってる!って感じなんですよね。僕はいつもうちの近所の魚屋さんで牡蠣を買って食べてるんですけど、その店は4月まで牡蠣を売ってますもん。だからもっと春に牡蠣を食べましょう!みたいなイベントやキャンペーンをばんばんやってくれたら、僕ら消費者側の考え方も変わってくるんじゃないですかね?」
牡蠣=冬。このイメージはなかなか強く、森﨑さんのように、そもそも春に牡蠣を食べる意識がないという方が多いことは、これまでの研究でも感じておりました。いっぽう、天谷さんのような「牡蠣意識高い系」の皆様の間では、おもに口コミで春牡蠣の実力が認識されているという発見も…。ここ広島で春牡蠣のおいしさを広めていくにあたり、貴重なヒントがいただけました。
生で、焼いて、握って…
春食材「菜の花」とも相性抜群!
では、ここからはお待ちかねの試食タイムでございます。さっそく、『こでまり』店主・加美さん入魂の春牡蠣メニュー4品を召し上がっていただきましょう。
春の生食用殻付き牡蠣、食べてみてよ!
「うわぁ~、すごっ!うまそう!」
「うまっ!味が濃いですね!」
「たしかに!牡蠣はいつも生で食べますが、それと比べてみて感じるのは味の濃厚さですね。まろやかでもあるし、うま味を蓄えているっていう表現には納得します。中でも小粒のものは特に味が濃厚になっていますね。これなら20個はイケる!(笑)」
「加熱して食べる場合は大きい牡蠣が好きな人が多いですが、生で食べるなら一口サイズが人気です」
「僕らは現役時代は試合があるから、牡蠣は生で食べることができなかったんですよ。かなりしっかり火を入れたカキフライとか、そんな感じでしたね。だから今、その反動でめっちゃ生牡蠣を食べてます(笑)。こんなおいしい牡蠣が3月いっぱいまで生で食べられるっていうのは本当うれしいです」
続いてはこちら「牡蠣と菜の花の煮浸し」
図らずも「冬の食材」と思われている牡蠣を、春食材の代表格である菜の花と合わせて煮浸しにした出汁の効いた逸品でございます。牡蠣を春のものとして捉えなおすことで、これまでマッチングすることのなかった食材との組み合わせが生まれる。これぞまさに料理革命、春牡蠣革命でございます。そーれ、レボリューション!
「これはカツオだしで菜の花と牡蠣を煮るんです。冷ますときに食材に味が入りますから、そのまま冷まして仕上げてあります。菜の花の苦みがアクセントになっておいしいと思います!」
「菜の花との相性がすごくいいですね、おいしい!味がめちゃくちゃしみ込んでるんですよ!やっぱり菜の花とこんなに合うってことは…牡蠣は“春の食材”なんすねっ!!!」
「天谷さん、目が輝きすぎてコワイ…」
そしてお待ちかね、焼牡蠣です!
「いい感じに焼けましたよ!」
「でたーーーーー!」
「間違いない!焼いたら焼いたで味が変わりますね。香ばしさが増すけど、牡蠣本来の味が負けてないんですよ。それがやっぱり春牡蠣の特徴なんですかね。僕はいつも牡蠣を生で食べるよりも火を通した方が好きなので、これはヤバいですね!」
「あと春牡蠣は、食感の違いも大きいんですよ。本当にいい時期の春牡蠣は食べたときにパチューン!って感じがあるんですが、この牡蠣がまさにそれ!パチュンパチュンです」
「わかります!貝柱のところとか、ビラビラがしっかりしてますよ!」
「ビラビラって(笑)」
「外套膜ですね(笑)」
クローザーは「握り」がマウンドに!
「さて、最後は春牡蠣の握りでシメにしましょう!」
「えぇ?牡蠣の握りなんて、初めてかも…。食べたことある?」
「無いっす!」
「栗原さん、牡蠣の握りを出すところって結構ありますか?」
「いや、少ないですねぇ」
出たーーーーーーーーーーーーー!
「この握りは、牡蠣を一瞬だけ湯に落とすんです。そうすると周りに少し食感が出るので、表面のしっかりした歯ごたえと、中の柔らかさをシャリと一緒に感じてもらえたら!味付けはポン酢とネギだけでどうぞ」
「いただきます!」
「(食べてしばらく沈黙)…これ、俺一番だわ!」
「僕もです!うんま、これ!何これ?」
「シャリが合うね⁉」
「牡蠣とシャリのバランスを楽しんでくれって言われたけど、その途中でワサビが来るのがすごくおいしいですね!」
「ワサビはちょびっとですごく効くんですよ、脂がある魚介類じゃないんで。マグロくらい入れたら、牡蠣だと鼻に効きすぎちゃいますからね」
「ポン酢で食べるってことは、酢ガキみたいな感じですか?」
「いや、やっぱり一度お湯に通すことで握れる状態に身がしっかりするんですよ。酢ガキの状態なら、ダラーンとして握れないので…」
「天谷みたいにダラけるってことですね?(笑)」
「おい!(笑)」
「春牡蠣って特にうま味を蓄えてるっていいましたよね?そのうま味が、少~し火を通すことでちょっと膨らむんですよ。牡蠣を加熱した時に出る、最初の一滴分ほどの汁には苦みがあるので、それを出すことで甘みが強まり、より一層おいしくなります」
「なるほどね!」
「実は、うちでは年末の牡蠣は握りにしないんです。全然、身が違うんで!2月、3月にしか握りはやれないですね」
「えぇ?じゃあ、この時期だけなんですね?」
「絶対に一番のオススメじゃん!」
「だから10月に牡蠣が解禁になるんですけど、その頃はシンプルに蒸すとか焼くとかして。年が明けて日が経てば経つほど、生っぽい牡蠣のほうが料理に扱いやすいんです」
「ちょっと湯通ししてるのに生のおいしさがあって、牡蠣本来の味が楽しめたのはそういうことだったんですね! …ところで牡蠣食う研さん、今日の写真ちゃんと撮れてます? なんなら、もう一回撮ったほうがいいんじゃないですか⁉」
「また食べようとしてる!(笑)」
いやぁ~、春牡蠣って本当にいいもんですね!
「今日はありがとうございました。こんなに春の牡蠣がおいしいとは思っていませんでした。牡蠣好きとしては驚くことばっかりで!」
「飲食店として言わせてもらえば、12月の一番売り上げがいいときにお客さんがよく牡蠣を食べられるんですよ。その反動なのか、3月になったらあんまり牡蠣が売れないんですよ。店としてはそれはすごく感じますね。3月4月とかは一番おいしい時期なのに、お客さんがあまり牡蠣を食べてくださらないですね」
「それは牡蠣食う研さんで、春牡蠣のキャンペーンをもっとやったほうがいいですよ!」
「わかったぞ…、春牡蠣のおいしさを俺たちが広めたらいいんだよね!?」
俺たちも牡蠣食う研だ!
ここに結成、春牡蠣ブラザーズ
春牡蠣の破壊力にゴールネットを揺らされた森﨑浩司さんと、グランドスラムをくらった天谷宗一郎さん。「これほどまでの広島の美味をくすぶらせておくのはもったいない!」と、春牡蠣の魅力をPRするため、再びユニフォームに袖を通すことを決意したのでございます。
ユニフォームと言っても、赤でも紫でもなく牡蠣柄
こちら、あのLemonのように爽やかなシンガーソングライターさまや、日本中に嵐を巻き起こすグループが着用したことで入手困難となっていた、ストリートブランド「Son of the Cheese」さん謹製の牡蠣シャツでございます。広島限定で2度の再販がなされたこのシャツには、着るだけでその人物の体内の亜鉛とタウリン、グリコーゲンの量を増やす効果が…ございませんがメンタル的にはパワーアップ間違いないかと。
「お二人、そのシャツめちゃめちゃ似合いますね!」
「ほんと!?(上機嫌)」
「なんか俺、田舎のリゾート地のホテルマンみたいじゃない?(笑)」
「では、お二人はこれから“春牡蠣ブラザーズ”として、広島の春牡蠣はマジうまい!ということをPRしてくださるということで…よろしいんでしょうか?(おそるおそる)」
「もちろんです!」
「二人で春牡蠣応援ポスターでも撮って、いろんなとこに貼ってもらいますか!」
「天谷と一緒にポスター写るのヤダなぁ~!」
「何言ってんすか~(またじゃれあう二人)」
「仲良しだなぁ…」
「それでは、これから我々みんなで春牡蠣のおいしさを広めて参りましょう!さあ、みんなでかけ声を!」
エイ、エイ、オイスターーーーーーー!!!
春サンフレッチェ広島アンバサダーでありながら、春牡蠣の魅力アンバサダーにも自ら就任(?)していただいた森﨑浩司さんと、伝説のスーパーキャッチのように春牡蠣で広島県民のハートをキャッチすることを誓った(?)野球解説者の天谷宗一郎さん。これをきっかけに広島に春牡蠣のおいしさを知る人が一人また一人と増え、広島中が春牡蠣を愛する人の笑顔であふれる日を、我々、牡蠣食う研は夢見ております。次回はさらに違った形で春牡蠣の魅力をPRすべく、ある人に接触予定!こうご期待!
撮影:中野一行
こうして完成した、牡蠣食う研の春牡蠣応援ポスター。広島県を中心に58店舗を展開するスーパー「フレスタ」各店ほか、広島の春牡蠣提供店で掲出中。お二人の仲良しぶりがたまりません。
記事で紹介している春牡蠣メニューが食べたくなったら…
-
今回の牡蠣食う研究
-
“牡蠣食う県” 広島県でも意外と知られていない!? 春の牡蠣のおいしさを世界中の皆様に広めたい!