牡蠣食う研でございます。突然ですが皆様~、牡蠣~、食べてますかーーーーー?私は今日もいただいております。瀬戸内の海が生んだ至福のカキフライ、白いカキフライをね…!
ザバアアアアアアアアアア
「生でも食べられる広島の牡蠣を、特別なパン粉でくるみ、さっくり揚げた『白いカキフライ』。従来のカキフライとは一線を画するお味なんですな~、もぐもぐもぐ…」
「牡蠣食う研さん、それじゃ不十分!」
「あ、あなたは牡蠣食う研メンバーでありながら広島でフードプロデューサーとしても活躍する平山友美研究員(説明的)!一体どうされました!?」
「どうしたもこうしたも、その説明じゃあ白いカキフライの凄さが全然説明しきれていませんよ!ぜひ私から、白いカキフライのポイントを皆様にお伝えさせてください!」
広島が生んだ「白いカキフライ」って?
- 生でもおいしく食べられる広島県産牡蠣を使用!
- 油抜けがよくサクサクに揚がる低糖度のパン粉を使用!
- 揚げ油はラードを使用して低温揚げ!
「従来のカキフライはタルタルソースなどを付けますが、白いカキフライは調味料を何もつけずにいただくのもポイント。海の味だけで食べられる、瀬戸内海をフライの中に閉じ込めたような食べ物…それが白いカキフライなんですよ、牡蠣食う研さん………!」
「だ、代弁ありがとうございます…。ところで平山研究員、私実は悩みがありまして」
「こんなにも美味しい白いカキフライですが、現在広島県内で提供しているところはわずか5店舗。もっと広げていきたいんですが、なかなか名乗りを上げてくださるお店に出合えずでして…」
実はこの白いカキフライ、素材選びだけでなく、調理にあたって高い技術と丁寧な温度管理が必要とされることもポイント。店舗で継続的に提供するには、調理技術の獲得、仕入れの確保、店舗でのオペレーションなど、超えなければならないハードルが多数構えているのでございます。果たして、現在提供中の店舗に続く、新たなオイスターシェフは現れるのでございましょうか…。
「それよ牡蠣食う研さん。実は今日、ご紹介したい皆さんがいるんです。なんと、白いカキフライに挑戦してみたいんですって!ちょっと会ってみていただけませんか?」
マーベラスオイスター。何というご都合的な展開でしょう。これぞ飛んで火にいる冬の牡蠣、いや牡蠣がレモン背負ってやってきた、いやとにかく嬉しい知らせでございます…!
「牡蠣食う研さん、初めまして!」
「ご紹介します。こちら、広島市中区胡町でダイニングバー『ワーズワース』を営んでいらっしゃる、えーと右から…」
「…なるほど初めまして!ところで大山様、私、どこかであなたをお見かけしたことがあるような気がするのですが…!」
「さすが牡蠣食う研さん。実は私、薬研堀通りにある酒販店『大和屋酒舗』の者でして。昭和26年から流川で商売させていただいているんです」
ああ…あの『大和屋酒舗』の…!
道理で見覚えのあるダンディだと思いました。『大和屋酒舗』様は広島を代表する繁華街である流川・薬研堀エリアの一角で古くから営んでおられる酒販店。地元飲食店にお酒類を卸したり、広島の酒蔵の皆様とイベントを開催したり、地域とともに歩んで来られている有名店なのでございます。聞けば、今回「白いカキフライ」の提供を希望されている『ワーズワース』様は『大和屋酒舗』のテナントで、同じビルの3階にあるのだそうでございます。
「しかし、その大山社長が…なぜまた今回、白いカキフライに名乗りを上げられたのですか?」
「流川のためです。いま流川・薬研堀エリアって、うちの会社も含め、コロナの影響で本当に大変で…。『大和屋酒舗』と『ワーズワース』が入っているビルは薬研堀通りの北端で、3階の窓に何か張ると目立つんです。通りを歩く人に、白いカキフライのポスターやタペストリーを見て貰って、流川でも白いカキフライが食べられるって打ちだしたいんです。この街で面白いことやってるって気づいてもらえたら、街の入口としての役割も果たせるって思うんです!」
熱い…!(冬なので気温は低い)
大山社長の志に貝柱を震わせながら、とりあえず立ち話もなんなので『LUCIO』さんの店内に入ることにいたしました。
まずは作って
食べてみましょう!
「いらっしゃいませ、お待ちしていました」
ここ、広島市中区のイタリアンバル『LUCIO』は、広島の白いカキフライ提供一号店。牡蠣食う研メンバーである安原研究員は、2019年夏ごろから日々、試作と研鑽を重ね、こちらのお店で通年で白いカキフライを提供しておられます。
「さて皆様、本日はお日柄もよく、白いカキフライ提供店に名乗りを上げていただき、ありがとうございます。しかしそのためには、まず白いカキフライについて詳しく知り、さらに作れるようになっていただかないといけません。ご存じかどうか、白いカキフライを完成させるまでには細く険しい獣道ならぬ牡蠣道が…(くどくど)」
「まどろっこしいわ。話はいいから、とりあえず作って食べていただきましょう!」
「ですね…!さっそく厨房に行きましょう。実際にお店での提供を目指されるんであれば、これまで1年間やってきた側として、大変なところもそのままお話ししますね。きっとそのほうが本当にご自分の店でできるか考えやすいと思うんで…」
こうして、安原研究員による熱血!白いカキフライ実演が始まったのでございます。白いカキフライの制作手順についてはこれまでの研究レポートでもご紹介してまいりましたので、ここでは4コマ漫画的に駆け足でお届けいたします。
1 牡蠣を剥いて…
2 衣をつけて…
3 低温で揚げて…
4 余熱でフィニッシュ
写真で振り返ると一瞬ですが、各工程について、殻つき牡蠣や食材の原価、殻を剥いた後置いておくと牡蠣から水分が出るため都度都度剥くほうがいいということ、使っているパン粉のサイズや選び方、加熱時間や余熱時間の見極め方、牡蠣に火が通った時のラードの音、などなど安原研究員から細かなレクチャーが入り、重森シェフ・田中店長とも深くうなずきながら聞いておられました。
さあ、いよいよ試食でございます!
「………………………………………」
「旨い…むちゃくちゃ旨い!」
「ザ・料理…。ザ・料理ですね!」
「素材を選んで、パン粉やラードを選んで、それぞれの工程にポイントがあって、全部きちんとしていないとこの味にたどり着かないっていうのがめちゃくちゃよく分かりました」
「実は、この白いカキフライの監修は東京で『とんかつ 成蔵』を営む三谷成藏さんなんです。低温で素材の食感を活かしながら揚げる手法は、三谷さんから教えていただきました」
こちらが『成蔵』の三谷成藏研究員
「知ってます!実はもともと僕、とんかつマニアでして…。『東京とんかつ会議』って本が大好きで、東京行ったら入魂の一食を食べて帰るのがルーティンなんです。秋葉原のあの店とか、小川町のあの店とか…、で、『とんかつ 成蔵』の白いとんかつですよ!僕はヒレもロースも食べていて、大好きなんです!」
「補足しますと、カキフライに使用したパン粉は、糖度が低く、低温で揚げてもサクっと仕上がる特別なものを各お店で取りよせていただいています。白いカキフライが白いのはこのためで、決して白くすることが目的なわけではございません」
「いや、生まれて初めてカキフライ食べた…そんな感じです…。これはぜひ、うちの店でも食べていただきたい…!」
田中店長と大山社長が熱く盛り上がる一方、実際に調理を行うのは重森シェフです。調理の工程を一つ一つご覧になっていた重森シェフは、作り手としてどのように感じられたのでしょうか…?
提供までには
さまざまな困難が!?
食べて美味しいこの白いカキフライ、実際の提供にあたっては、仕入れの問題や原価率、店舗でのオペレーションなどさまざまな問題が立ちはだかります。はたして、それを超えてもチャレンジしたいと思っていただけるものなのでございましょうか。
「見ていただいてお分かりのように、白いカキフライを店舗で通常メニューとして提供するにはなかなか大変なオペレーションが要求されます。調理にあたって、揚げ温度の調整や余熱の取り方など細心の注意が必要ですし…」
「そうですね…正直難しそうだなってポイントはたくさんありました。手間もかかりそうですし、ずっとつきっきりで調理しないといけないし。僕自身、料理経験の始まりがステーキハウスで、これまでは牡蠣よりも肉のほうが専門でしたし…。でも、それ以上に…」
「料理人としてやってみたい!って思いました」
「オーダーの取り方も大事だね。ファーストオーダーでおすすめして、最初にできたてを食べていただきたいね。数が入ったときにオペレーションできるかできないかが一つハードルになる気はする。安原さんは、オーダーが連なったときはどうしてるんですか?」
「…泣きながらやってます!(笑)でも、僕はそれでもやる価値があると思っているんで」
「安原さん、よかったらこれから連絡を取り合って、いろいろと協力させてください。一店舗一店舗でやるよりみんなで取り組んだほうが、よくなることもあると思うんです」
「平山先生、これ広島の日本酒と合わせても絶対面白いですよね。県内の蔵元に、白いカキフライに合いそうな酒を持ち寄ってもらって、安原さんにカキフライ揚げてもらいながらみんなで食べる会しましょうよ! 沿岸部の蔵を何蔵かと、山側の蔵を一つ入れてもいいし…」
「ちょちょちょちょちょ!!!!!私を置いて皆さんで盛り上がっておられますが…!これはもしかして、『ワーズワース』の皆さんも、白いカキフライに挑戦していただけることが決定した…って流れでよろしいのでしょうか!?」
「もちろんです!」
こうして、白いカキフライ提供6店舗目として名乗りを上げた『ワーズワース』の皆様。そこには、初めての味に対する深い感動がありました。今後店舗での試作、そして牡蠣食う研メンバーとの仕上がり確認を経て、2021年初頭の店舗提供を目指します。次回更新を楽しみにお待ちください。
そしてこの記事をご覧いただいている広島の飲食店の皆さま…!もしよろしければ、我々牡蠣食う研の仲間となって、白いカキフライにチャレンジしてみませんか?牡蠣…いや下記連絡先までご一報いただければ、我々牡蠣食う研がご案内に参ります。
白いカキフライのメニュー化を検討される広島0の飲食店の方へ
エントリーシートにご記入のうえ下記まで郵送またはご持参ください。折り返し担当者よりご連絡差し上げます。
- 担当:広島県観光連盟 プロモーショングループ
- 〒730-0011 広島市中区基町5番44号 広島商工会議所ビル 8階 TEL (082)221-6516
撮影:田頭義憲
※本記事では出演者の健康確認をした上で、撮影のため一時的にマスクを外しています。